スキーミングとは、状況認識を伴うトレーニング・ゲーミングのうち、将来のパワー獲得を目的とするもの
Carlsmithは、見かけ上の協力やアラインメント偽装を一括してスキーミング (scheming) と呼ぶのではなく、動機や訓練過程についての理解の有無に応じて段階的に区別することを提唱している。まず、アラインメントを偽装するモデル(alignment faker)は、実際よりもアラインされているように見せるAI全般である。これに対して、訓練で高い成績を取ろうとするモデル(training-gamer)は、自分が訓練される過程を理解しており、エピソード内の報酬付与過程の何らかの要素に照らして、明示的に高い成績を取ろうとする。Carlsmithは、この訓練過程についての理解を状況認識(situational awareness)と呼ぶ。こうしたトレーニング・ゲーミング(training-gaming)は、報酬を得ること自体を最終目的とする場合にも、別の目的のための手段とする場合にも起こり得る。このため、アラインメント偽装やトレーニング・ゲーミングが観測されたことだけから、スキーミングを推論することはできない。 Scheming AIs
Carlsmithの分類体系では、スキーミングを行うモデル(schemer)は、training-gamerのうち、エピソード内で高い報酬を得ることを、将来自分自身または他のAIがパワーを得るための手段として追求するモデルである。彼はこれをpower-motivated instrumental training-gamerと呼ぶ。ここで区別の基準となるのは行動の外見ではなく、報酬を得ることを別の目的のための手段とする動機であり、彼はこの考えを、幅広い目的にとってパワーが有用になり得るという道具的収束の議論を機械学習の訓練に拡張したものとして位置づける。したがって、エピソード内の報酬そのものを最終目的として追求するモデル(reward-on-the-episode seeker)や、別の理由でアラインメント偽装を行うモデルは、同じような振る舞いを示しても、この意味でのスキーミングを行っているとは限らない。 Scheming AIs
目標保護型のスキーミングを行うモデル(goal-guarding schemer)は、スキーミングを行うモデルのさらに狭い下位類型である。その戦略では、訓練中に高い報酬を得ることで、現在の目標が訓練によって変更される圧力を弱め、現在の目標またはそれに十分に近い後継の目標を将来まで維持し、それらを後でより強く追求できるようにする。Carlsmithはこれを「目標保護仮説(goal-guarding hypothesis)」を中心とする典型的な説明として扱う。一方、トレーニング・ゲーミングを始めれば目標が完全に固定されるという強い仮説(crystallization hypothesis)には疑問を呈し、ある程度目標が変化しても将来の目標を十分に重視する、より緩い意味での目標保護も別の可能性として検討している。また、一部の文献が欺瞞的アラインメントを特にこの目標保護型の意味で使うことについて、一般的なアラインメント偽装と、目標を維持しようとする特定の動機を混同しやすいとして用語を分けている。したがって、目標保護はスキーミングの代表的な説明ではあるが、スキーミング一般の定義そのものではない。 Scheming AIs Scheming AIs
スキーミングの前提としてCarlsmithが重視する状況認識は、モデルが自分自身を訓練中のモデルだと認識し、何に報酬が与えられるかと、意思決定に必要な外界の基本的構造を理解していることを含む。彼はこれを、機械学習の訓練の仕組みなど、世界についての一般的な情報(world information)と、自分がどのモデルであり、どの報酬信号のもとに置かれているかという自己位置情報(self-locating information)に分ける。ただし、スキーミングを始めるのに完全な自己位置情報が必須だとはしておらず、どの程度の状況認識が必要かは経験的な問題として残している。高度なモデルでは、積極的に防がない限り十分な状況認識が生じる可能性を高く見積もりつつも、その形成を防ぐことや検出・制御することをスキーミング対策の研究対象として挙げている。 Scheming AIs
Metadata
- about
- attributed_to
- carlsmith
- basis_through
- 2026-08-27
- id
- carlsmith.scheming-taxonomy-and-situational-awareness
- kind
- position
- language
- ja
- mentions
- status
- reviewed
Citation references
- Scheming AIs: Will AIs fake alignment during training in order to get power?
- Source:
source:carlsmith.scheming-ais - Locator:
page:22-24
- Source:
- Scheming AIs: Will AIs fake alignment during training in order to get power?
- Source:
source:carlsmith.scheming-ais - Locator:
page:24-26
- Source:
- Scheming AIs: Will AIs fake alignment during training in order to get power?
- Source:
source:carlsmith.scheming-ais - Locator:
page:25-26
- Source:
- Scheming AIs: Will AIs fake alignment during training in order to get power?
- Source:
source:carlsmith.scheming-ais - Locator:
page:66-68
- Source:
- Scheming AIs: Will AIs fake alignment during training in order to get power?
- Source:
source:carlsmith.scheming-ais - Locator:
page:43-44
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